0. はじめに
数年にわたってゆるく続けてきた転職活動が一区切りついたため、自分の振り返りのためにブログの記事にしてみる。
すぐに転職したい訳ではないけどいつか転職したいという人や、自分の市場価値をまずは調査したいという人にとって何かしらの参考になればということでブログで公開しています。
※他の求職者による再現性を保証するものではありません。
※転職エージェントを利用した積極的な活動をする場合はこちらの記事が役に立つかもしれません
1. 経歴と転職活動の方針
2010 3月 東京農工大学で博士号(工学)取得
2010 4月 東京農工大学 工学部 特任助教 (任期1年、途中退職)
2010 10月 九州先端科学技術研究所 研究員 (2020年3月に常勤としては退職)
2020 4月 福岡市内のスタートアップ企業 (2024年1月末 退職)
2024 2月 新しい所属 ← 今ここ
上記に記した通り、元々はアカデミアで研究者として働き2020年から民間企業で働いています。
いくつかの職を経験していますが、アカデミックポストの場合、若手はそもそも勤務地や所属を選んでる場合ではななく空きポストにとにかく応募するだけでしたし、初めて入社した民間企業も当時そこに在籍していた知人の誘いで入っただけなので転職活動らしい転職活動は今回が初めてでした。
色々と訳があって2021年4月に転職を考え始めたのですが、この時点の考えとして職を頻繁に変える癖をつけたくはないという思いと、「自身がこれまで取り組んできたこと」ではなく「多少これまでと違ってもワクワクすること」に挑戦できる仕事を見つけたいという願望がありました。
そこで当時の職と比較して以下の条件を重視し、ゆっくりと時間をかけて転職活動を行ってみました。
[継続]
- AR/VR開発のエキスパートとして働く (マネージャーではなく)
- 残業を前提とした働き方をしていない
- 強みのある技術的分野を持つ企業
[変えたい]
- 技術的に自身が成長できる要素があること
- より大きな規模のプロジェクトに携われる
- プログラム開発だけでなく企画にも関わる
- 組織は大き過ぎず小さ過ぎず
- 在宅ワーク
- 収入UP
活動の方法としては後述する転職サービス等に登録をし、スカウトが来るのを待つだけ。また、返信するのは企業からの直接スカウトのみとしました。転職エージェントは全無視です。
転職を急ぐ場合にはおそらく転職エージェントから沢山の求人を紹介してもらうのがスムーズだと思いますが自分の場合、(1)別に転職を急いでいない、(2)合わない求人を断るやり取りを繰り返すのがストレス、(3)ひとまず話を聞きたいだけなのに初回面談でよく知りもしない企業の志望理由を考えるのが嫌 という理由で転職エージェントを利用しませんでした。
一方、企業からのスカウトメールについては、自身の職務経歴を読んだうえでのスカウトに対しては異分野や異業種でも気にせず、まずは双方の理解を深めるためのカジュアル面談を受けさせていただきました。(この人ちゃんと職務経歴を読んでないなと思うスカウトも多々あってそれは無視)
異分野や異業種でもとりあえず話を聞いてみることは、本人が認識していない市場価値を知ることができる可能性があるので非常に有意義ですし、結果的には今回の転職にもつながりました。
また、企業からのスカウトメッセージには選考への応募方法の記述はあってもカジュアル面談の記述がない場合もありますが、自分からお願いすれば大体の企業はカジュアル面談を受け付けてくれるので、お互いを知る機会を得るという意味で必ずやっていました。
面談の機会や実際の入社オファーをいただいた各企業様にはこの場を借りてお礼申し上げます。
このような方針で活動を続けた結果、2023年の11月末まで頻度の波はあれど月1-2社程度、コンスタントにお話しする機会をいただいていました。
2. 利用したサービス
利用した上記サービスのうち、自分との相性が良かったものの1つがビズリーチでした。スカウトのマッチング精度や提示される給与額が他と比べて高い傾向にありました。そのぶんスカウトメールは少なめな印象でしたが、低ノイズで情報収集するにはおすすめだと思います。
続いてenミドルの転職。こちらはスカウト頻度は多い反面、マッチング精度は少し下がる印象でしたが自身のスキルを活かせる他の業界について知るという観点で有益でした。また、有名企業からのマッチ度の高いオファー(内定)もありましたので、今回使用したサービスの中ではバランスが良かった印象。ビズリーチだけでは情報が少ないなと感じる場合は利用してみると良いと思います。
WantedlyとGreenはこれまでの2つと比べてスタートアップ企業が多い印象でした。尖った技術を持った会社とカジュアル面談をする機会を求める人には良いかも。自身の保有スキル(AR/VR)とマッチした企業からのコンタクトもそれなりにありました。ただし、万年人手不足でIT系なら誰でもいいから入れたい雰囲気を滲ませた企業からのコンタクトもあったのでそこは要注意。
Linked Inは転職サービスではなくビジネス寄りのSNSです。海外の企業・開発者・クリエイターと繋がりを作ったり実際に仕事でのコラボレーションの話をするのにおすすめです。自分の場合、普段試作しているARやVR作品が海外受けが良いため(日本人受けは良くないけど)メインで利用しているSNSです。海外の企業のCxOや採用担当から頻繁にダイレクトにコンタクトが来ていたので海外志向の方におすすめ。
3. 各種サービス登録後にやったこと
いずれのサービスを利用する場合でも情報更新を頻繁にすることが機会を増やすうえで重要になります。
転職サービスに関してはあくまで予想ですが、職務経歴等のプロフィール更新時刻が新しい方が企業側の検索にヒットしやすいようです。実際に、転職活動を終えて更新をしなくなったらメールの件数が減りました。
「頻繁に更新しろと言われてもそんなに職務経歴やプロフィールなんか変わらないよ」と思われるかもしれませんが、職務経歴等に記載している単語を一つ変更するだけでもシステム上は更新として扱われるようです。自分もこの方法で週に1-2回程度の頻度で登録情報を変更して、システム側に認識させるようにしていました。
LinkedInに関しては、自身が趣味で開発したARコンテンツを定期的にポストし、自身の作品を気に入ってくれるファンを増やすようにしました。また、プロフィールには新しい職を探している旨も記載。実際のところ、これらが功を奏して企業の決定権のある立場にある方や採用担当の方から多くのコンタクトがありました。
SNSの利用については、求職者自身がターゲットとする企業の関係者が利用しているSNSであればX(旧Twitter)など何を選択してもOKです。重要なことは自身の関心事やスキルを発信することで相手に認知してもらうチャンスを増やすことです。
各媒体を経由して漕ぎつけたカジュアル面談や面接では、お互いの紹介以外に必ず技術的な話をして双方の技術的な関心やレベルが合うか否かを確認しました。その際、自分の強みはもちろんアピールしますが、同じように弱みについても話をすることにしていました。自身の弱点が先方にとって問題か否かを知ることは職を得た後にとても大事なことだと考えています。
4. 結果
いずれのサービスを経由したスカウトでも前述の通り、返信する企業の条件を絞っていたためカジュアル面談から内定オファーまでのスピードは速かったです。ちなみに今回の転職を決めた企業はLinked In経由のスカウトでした。
社名等はまた後日SNSやホームページで公開しますが、海外に本社を置くIT系の企業のAR/VRチームに加わることになりました。決め手として、冒頭で述べた条件を満たしていたことに加えて(1)これまで自身がAR/VRの応用対象としていた事とは別のことができる点、(2)他の企業よりも私自身の作品や技術に関心を示し詳細な質問をしてきた、(3)苦手なことをはっきり伝えたことを良い事として評価されたことなどでした。前述の繰り返しになりますが、特に自分の弱みを知ってもらったうえでの内定は新しい環境に行く際の安心材料になります。
チーム内ではおそらく唯一の日本人(2024年1月現在)なのでしばらくはコミュニケーションに苦労しそうですがそれも楽しみです。またフルリモート&裁量労働なので愛猫の睦月さんとの時間もたっぷり取れそうで今のところ満足の結果です。
実は2023の1月にかなり有名な企業の内定を辞退していてその後、だいぶ後悔していたのですが今となってはそれ以上に相性の良さそうな企業と会えたので結果オーライです。
5. さいごに
今回は2年8ヶ月かけてゆっくりとやった転職活動の内容をまとめてみました。早急に職を得るには向かない方法ですが、急がないからこそ腰を据えてじっくり次にやりたい仕事の内容や希望するライフスタイルに向き合うことができました。
今回のような待ちの姿勢の転職活動の良かった点は、自分から応募している訳でないので(1)企業調査をする前に関係者の方から色々と話を聞ける点、(2)何故自分にコンタクトをとったのか率直に聞ける点、(3)転職エージェントとのやり取りのストレスが0という点が挙げられます。
この記事の読者さんで、ちょっとでも転職の二文字が頭をよぎった方は転職サービスに登録して情報収集の準備をするだけでも良いと思います。どうせ無料なのでまずは行動してみましょう。この時点でレジュメを作るだけ作っておけば、いざ本格的に転職活動をしたくなった時にも初速度Maxでスタートできます。
また「今はアカデミックポストで働いているけど民間転職に興味がある。でも自分のスキルに需要があるかわからない。」という方もまずは積極的に情報を公開してご自身の価値を他の人に見出してもらえるチャンスを作ると良いのではないかと思います。チャンスは行動量に比例します。
この記事を読んで、より詳しく知りたいことなどあればぜひ個別にコンタクトしてください。転職活動で悶々としている方の助けになれれば幸いです。
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