1. AR Fukuokaって?
AR(Augmented Reality:拡張現実感)技術を実際に体験しながら学ぶことをメインに、開発のハンズオンや最新機器の体験会を行うなど、福岡を中心に活動しているARコンテンツ作成勉強会(#AR_Fukuoka)というコミュニティです。
AR Fukuokaやそれに関連した1年間の活動を振り返ると、合計で32回もの勉強会開催やイベント登壇をしていました。そこで今年も一年の活動をまとめてみます。
2. イベント開催
2.1. AI x Web
今年もコロナ感染防止のためオンラインでのハンズオン開催がほとんどでした。実施するにあたり環境を整えやすいWebベースのツールだけで実現できる楽しいこと模索した結果、AIライブラリのmediapipeを使った以下のネタを思いついたのでハンズオンにしてみました。
(1)フェイストラッキングを使った擬似3D表現
Looking Glassのような立体視ディスプレイがなくてもPCの2D画面内で奥行き表現を実現するというもの。
体験:https://web-parallax.glitch.me
(2)Selfie SegmentationとOpenCVを使ったカメラフィルタ
Zoomなどでよく使われているバーチャル背景を実現するための土台となる人間と背景の分離をするSelfie Segmentationのハンズオン。バーチャル背景だけでなくOpenCVを使ったフィルタ処理により写っている人を漫画チックにしています。
体験:https://selfie-seg-opencv2.glitch.me
このネタは数年前にKinectを使って実施したハンズオンのWeb版。手の位置や角度にライトセイバーを追従させるだけでなく親指の立ち具合に応じて大きさを制御するコンテンツです。ハンズオンを通して手の角度の扱い方やOpenCVの画像処理以外の使い方についても解説しました。
体験(Win/Android):https://ar-lightsaber4arfukuoka.glitch.me
体験(Safari for iOS/Mac):https://ar-lightsaber4arfukuoka-m1ios.glitch.me
2.2. WebAR/VR
スマホやHMD対応のWebAR/VR開発ツールについても今年はいくつか紹介しました。
(1) WorldCAST
Webブラウザ上で動作するエディタを使い、表示したいオブジェクトをマウス操作で配置するだけ。プログラミングすることなく手軽にARコンテンツを作れるツールです。
その手軽さから勉強会後に各自でコンテンツを作ったという人が開発者以外の方も結構いたのが印象的でした。
(2) ZapWorks
こちらは昔からARブラウザなどを提供していたZappar社のWebAR開発ツール。jsの各種3Dライブラリやフレームワークに対応しているだけでなくUnityにも対応しているのが特徴。
マーカー上にオブジェクトを表示するだけならノンプログラミングで開発できますし、通常のUnity開発と同様にC#でスクリプトを記述すればインタラクティブなコンテンツも作れます。
(3) A-Frame
AR Fukuokaではお馴染みのA-Frame。今年はHoloLens2がWebXRに対応し、さらにハンドトラッキングも利用できるということから、HoloLens2/Quest対応のハンドトラッキングコンテンツのハンズオンを開催しました。
こちらのハンズオンは応募者多数だったため再開催もしました。
また11月にはコロナが少し落ち着いてきたこともあり、エンジニアカフェを会場に久しぶりにオフラインのハンズオンを開催しました。とはいえ大人数で集まるわけには行かないのでオフライン/オンラインの両方で実施。
さらにこの回ではDoMCNのじゅんさんとさって〜さんにご協力いただだき北海道にオフライン会場を設けて現地の人たちにもご参加いただきました。このオンライン/オフラインのいいとこどりの試みは来年もやりたいなと思っています。(協力コミュニティ大歓迎!)
2.3. Unityを使ったスタンドアロンアプリ
今やXR開発ツールのスタンダード、Unityのハンズオンも開催しました。
(1) Holo-SDK
Web x AIネタでも紹介したヘッドトラッキングを用いた擬似3D表現と同様のことが実現できるUnity用のSDK、Holo-SDKのハンズオン。こちらは一切プログラムを書くことなくUnity Editor上で操作するだけで簡単にコンテンツを作れます。さらこのSDKは設定を変更するだけでアナグリフ眼鏡や3Dプロジェクタにも対応できる優れもの。無料版はアプリ実行時間に制限がありますがSDK開発元のご好意で勉強会参加者には一年有効な有料ライセンスをもらえました。2022年も1月に再開催するのでお楽しみに!
(2) Nreal Light
軽量ARグラスのNreal Lightがこの夏、ついにハンドトラッキング対応となったためハンズオンを開催。ピンチ操作、HoloLensでいうところのAirTapをすると弾を発射できるコンテンツを作りました。
元々はオフラインで開催予定でしたがコロナ感染者が爆発的に増えたことを受け、急遽オンライン開催。Unity Editorである程度の動作確認ができるおかげで実機を所有していないNreal貸し出し枠に登録していた方にも楽しんでもらえました。
2.4. 体験会
各種HMDや裸眼立体ディスプレイの体験会を実施。
(1) Voxon VX1体験会
日本では珍しい裸眼立体ディスプレイのVoxon VX1の体験会を実施しました。この装置の特徴としてはどの方位からでも3Dオブジェクトを観察できる点が挙げられ、前面からしか観察できないLooking Glassとは少々異なる体験ができます。興味がある方がいればまた体験会を開催したいと思っているのでぜひご相談ください。またこのイベントの開催にあたりhand anythingさんに会場を提供いただきました。機材が重たいので近所で開催できてとても有難かったです。
(2) 高校生向けXR体験会
AR Fukuoka繋がりのとある会社さんからリクエストがあり新しい技術に興味のある高校生を対象とした体験会を実施しました。
当日はQuestを使ったVRやHoloLensやNreal Lightを使ったARを体験してもらいました。
2.5. LT会
開発するでけではなく色々な人の話を聞いてみようということでLT会も開催しました。
(1) xTechゆるっとLT
昨年から始めたコミュニティ交流イベント。普段参加しているコミュニティとは別の属性の人たちの話や技術に触れることで刺激を受けたり知識の幅を広げたりすることを目的に開催。今年は、福村さん主催のVUI Fukuoka、後藤さん等を中心に活動しているROS Kyushu UG、清家さんや赤瀬さん等を中心に活動しているFukuoka.php、エンジニアカフェに集まるMaker'sな方々と一緒にLT会を実施しました。
狙い通り知らない話をいっぱい聞けて主催者としては満足です。2022年も継続したいと思っているので、一緒にLTしてくれるコミュニティや、コロナの影響で活動が止まっているけどそろそろ何かやりたいコミュニティの方々はぜひご連絡ください。
(2) 暑気払い&忘年会LT
こちらは毎年恒例のイベント。ただしコロナの影響でオンライン開催。AR Fukuokaのハンズオンにいつも参加している方の取り組みを聞けて非常に刺激になりました。また、これをきっかけに知り合えた方もいて今後イベントを通じてコラボできればなーと考えています。
3. イベント登壇
コミュニティ繋がりのイベントにも登壇させていただきました。
(1) Engineer Day
福岡の各種コミュニティが集まって活動内容などを発表するイベント。AR Fukuokaと昨年から開発を続けていたHoloBoxについてお話をしました。
(2) Hacktivation
いつもお世話になっているエンジニアカフェ主催のイベント。エンジニア x街というテーマを色々な切り口で掘り下げるイベントの中でエンジニアコミュニティ主催者としてAR Fukuokaを通じて感じたことや起きた出来事などを紹介しました。
(3) DevRel/Japan CONFERENCE 2021
各種技術領域のエバンジェリストなどによるトークイベント。DoMCNのじゅんさんのお誘いでxR枠の登壇者のうちの1人として参加しました。
4. まとめ
今年もコロナの影響を受けつつも、ハンズオンや技術解説を中心とした活動ができました。また他のコミュニティでの登壇などの機会に恵まれとても楽しい一年になりました。この勢いで来年も楽しめること(特に自分が)を企画して取り組んでいきます。
今後も新規の参加者はもちろん、勉強会でやってみたいネタや講師の立候補、福岡県外での開催リクエストお待ちしています!