2014年は色々な種類のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)が登場ましたが、多くの場合これとセットでAR(Augmented Reality)話題に挙がります。
そこで、各種HMDの特徴やARの見え方を紹介してみようかと思います。
1. inforod
ウエストユニティスという国内メーカーから販売されたHMD。あの有名なgoogle glassと同様に片目側にディスプレイがありますが、inforod(下図左)の方がgoogle glass(右)よりも表示領域が小さいのが特徴です。
視界の片隅に情報が提示される様なイメージで、作業中に補助情報をチラ見するような用途が考えられます
まずは左下の動画をご覧ください、スマホなどを用いたARと同様にカメラで撮影した映像にCGを重畳するコンテンツを作成しました。使ってみると、自分の目で見ている風景の片隅に全く同じ風景の映像が表示されるので多少混乱します。
一方、右側の動画のようにカメラの映像を非表示にし補足情報を文字で表示するARコンテンツも試作しました。この場合はユーザーの視界を主とし、補足情報のみを付加することができます。そのため、用途に合わせた情報をタイミングよく表示することができれば作業支援で役立ちそうです。
2. MOVERIO
今年7月にエプソンから発売されたシースルー型のHMD。inforodとの主な共通点・相違点は以下のとおりです。
共通点:目で見ている風景の一部に情報が表示される。
相違点:両目にディスプレイが搭載されているので立体視が可能
また、情報の表示位置もinforodとは異なり視界の中央に出てきます。そのため、作業支援用途で利用する際、場合によっては邪魔になる可能性があります。
一方、MOVERIOにはディスプレイの前面にカバーをつけることで視界を遮ることも可能です。そのため没入型のHMDとしても利用でき、右の動画中の背景を更に暗くした状態で、カメラ映像にCGが重畳されたコンテンツを楽しむことが可能です。アミューズメント用途で活用すると面白いのではないかと考えています。
3.Cardboard
最後に紹介するのは、Google I/O 2014で配布されたダンボール製のHMD。 前面にスマートフォンを差込むだけで、3Dコンテンツを楽しむことができます。 このCardboardですが、設計図が公開されているため有志により手作りされ、販売もされています。最初に紹介した2つと比べるとやや大きいので作業支援に使うのは難しいかなといった印象がありますが、MOVERIOと同じく立体視に対応しているため、簡易HMDとは思えないほどの没入感を得ることができ、イベント向きな気がします。
ちなみにcard boardでは視界は完全に遮られるため、作成できるARコンテンツはカメラで取得した風景映像を用いるタイプ(カメラシースルー)になります。また、スマホ内で表示を左右にスプリットする必要があります。
余談ですが現在、card boardを使ったVRコンテンツも試作しています。もしよろしければこちらも合わせてご覧ください。
Kinect for Windows v2とgoogle cardboardでVR空間を歩けるコンテンツを試作
4.まとめ
今回、3種類のHMDを紹介しましたが、ARで利用する上での特徴をまとめると以下のようになります。
google glass等のプロモーションビデオなどを見るとHMDは何でもできる夢のデバイスのような印象を受けますが、実際は当たり前ですがそれぞれ得意・不得意 なことがあります。これらを整理したうえで、どの機器をどう利用するかについて考えてみると夢のあるシステムの具現化に近づけることができて楽しいと思います。
最後に、今回はARにスポットを当てた内容で書きましたが、HMDはARためのデバイスではなく、あくまで情報表示のためのディスプレイです。これがARに限らずどのような場面で使うと便利または面白いのかについて私自身、考えてみたいと思っています。
本記事はAR Advent Calendarに登録しました。
AR(Augmented Reality) Advent Calendar 2014 - Qiita